【企業側】派遣社員の採用・受け入れの流れや注意点について解説!

派遣 採用 流れ

派遣社員を受け入れた経験がない企業にとっては、どのような流れで派遣を受け入れるのかイメージしにくいと思います。

採用するまでに発生する流れは、人材派遣の種類によって異なります。

登録型派遣・常用型派遣・紹介予定派遣のうち、自社がどの種類の派遣を利用するのかを先に決めておくといいでしょう。

この記事では、派遣の種類ごとに採用までの流れを解説していますので、自社の該当する種類をチェックしておきましょう。

その他には、派遣採用時・受け入れ時の注意点や発生するコスト、辞退を避けるためのフォローアップなどについてもピックアップしています。派遣社員をトラブルなく受け入れたいという方は、ぜひ最後まで見てください。

今後人材派遣の利用を考えている場合、以下の記事が派遣会社選びの参考になります。大手人材派遣会社を規模別・業種別に紹介しているので、派遣会社を比較するときに役に立ちます。

>>【企業さま向け】大手人材派遣会社おすすめランキング

目次

【企業側】派遣社員を採用するまでの流れについて解説

企業側 派遣社員を採用するまでの流れを解説

人材派遣の種類は大きく3つあり、「登録型派遣(有期雇用派遣)」「常用型派遣(無期雇用派遣)」「紹介予定派遣」に分かれます。

・登録型派遣
派遣社員と派遣会社は、派遣先が決まった時点で派遣会社と雇用契約を結び、派遣期間が終了すると終了。

・常用型派遣
派遣社員と派遣会社は、派遣先の有無に関わらず雇用契約が継続し、派遣先が決まっていない間も派遣会社に所属する。

登録型派遣と常用型派遣は、派遣会社に登録または雇用されている社員を派遣先が受け入れるのに対し、紹介予定派遣は派遣先が雇用を目的として派遣社員を受け入れます。

そのため、それぞれ採用するまでの流れが異なることを把握しておきましょう。ここでは、大きく2パターンに分けて解説します。

一般的な派遣社員の採用までの流れ(登録型派遣/常用型派遣)

一般的な派遣社員の採用までの流れ

登録型派遣・常用型派遣を採用するまでの流れは、以下のとおりです。

  1. 派遣会社へ求人依頼・ヒアリング
  2. 派遣社員のマッチング
  3. 顔合わせ・職場見学
  4. 契約の締結
  5. 社内体制を整える
  6. 派遣社員の勤務開始

1. 派遣会社へ求人依頼・ヒアリング

派遣の依頼は、各派遣会社Webページの問い合わせフォームや電話にて行えます。

依頼後は担当者とのヒアリングが行われ、最適な人材を選ぶための情報を聞かれることになります。このヒアリングでは、事前に伝えたい情報を準備しておくとスムーズです。

  • 業務内容
  • 契約期間
  • 就業条件
  • 依頼の背景
  • 求めるスキルや経験
  • 人物像

などの必要な情報を、あらかじめ社内でまとめておきましょう。

2. 派遣社員のマッチング

ヒアリングをもとに、派遣会社によって人材の選定が行われます。ここで注意しておきたいのが、登録型派遣・常用型派遣では人員を選べないことです。

派遣先企業による派遣社員を特定する行為は、労働者派遣法で禁じられているので知っておきましょう。

労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない。

(引用元:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

3. 顔合わせ・職場見学

派遣社員の希望があれば、顔合わせや職場見学などを行います。これは派遣会社と派遣社員、派遣先企業の間で認識に誤りがないかを確認するためのものです。

選考する目的ではないことを理解し、派遣社員へ選考目的の質問や個人情報に関する質問をすることは控えましょう。

4. 契約の締結

受け入れが決まったら、派遣会社と契約を結びます。契約には「労働者派遣基本契約(基本契約)」と「労働者派遣契約(個別契約)」の2つがあり、それぞれに以下のような特徴があります。

労働者派遣基本契約(基本契約)労働者派遣の取引全体に関する契約(派遣料金・生じる義務・損害賠償・禁止事項など)
労働者派遣契約(個別契約)労働派遣に関する詳細な契約で、派遣社員ごとに結ばれる(業務内容・就業場所・指揮命令責任者の明示・休憩時間など)

基本契約は必ず締結しなければならないものではありませんが、リスクや便宜上の観点から結ばれるケースが多いです。

また上記2種類の契約は、派遣先企業と派遣会社の間で結ばれる契約です。派遣社員との間に雇用関係が発生する契約ではないことを理解しておいてください。

5. 社内体制を整える

派遣社員の受け入れが決まったら、スムーズに業務を開始できるように社内体制を整えておきましょう。

  • 既存スタッフへの周知
  • 業務で使用する備品の準備
  • メールアカウントの作成
  • 社員証やセキュリティカードの準備

職種や業務、会社によって準備するものは異なりますが、派遣社員の採用が決まったら自社で必要な事前準備を開始し、受け入れに備えます。

6. 派遣社員の勤務開始

派遣社員が働き始める時には、派遣先責任者が職務上で必要なルールや業務内容を説明します。またその他、休憩室やトイレ・ロッカーなどの設備についても一通り案内しましょう。

派遣社員は、初めての職場で不安に思う方が多いため、迎え入れているという気持ちで事前準備・説明を丁寧に行うことが大切です。きちっとした対応をすることで、派遣社員に安心感を与えられます。

逆に最初の印象が良くないと「自分は必要とされていないのかも…」「雑に扱われるかもしれない…」など不安が膨らみ、辞退へとつながる危険性があるので要注意です。

勤務開始時には、業務内容を正しく伝えるとともに、派遣社員の気持ちに寄り添った対応を心掛けるといいでしょう。

紹介予定派遣の採用までの流れ

紹介予定派遣の採用までの流れ

続いては、紹介予定派遣の採用までの流れを解説します。採用までの流れは、主に以下のとおりです。

  1. 派遣会社へ依頼
  2. 顔合わせ・面接・選考
  3. 契約の締結
  4. 派遣社員の受け入れ(最長6ヶ月)
  5. 派遣社員への意思確認・労働条件の提示
  6. 採用決定&入社

1. 派遣会社へ依頼

派遣会社へ依頼する時は、「募集要件」や「労働条件」を提示します。これらは、直接雇用後に変更できないため、あらかじめ慎重に定めておくことが大切です。

2. 顔合わせ・面接・選考

紹介予定派遣は直接雇用を目的としているため、一般的な派遣とは異なり、面接や書類・筆記試験などによる選考が可能です。また面接の時には、業務内容の説明や直接雇用の意思確認も行います。

3. 契約の締結

面接や選考を通して問題ないと判断できたら、労働者派遣契約(個別契約)を結び、派遣社員を受け入れます。契約書では、派遣期間や派遣料金などの契約内容を確認しましょう。

4. 派遣社員の受け入れ(最長6ヶ月)

派遣期間は最長6ヶ月です。派遣先企業は、派遣期間が満了するまでに直接雇用するかどうかを決めなければなりません。

5. 派遣社員への意思確認・労働条件の提示

派遣期間が終了する段階で、派遣会社の営業担当者が、派遣社員と派遣先企業に直接雇用の意思確認を行います。双方が合意した場合は直接雇用へ向けて契約が進められ、企業側(派遣先)は再度労働条件を提示することが必要です。

6. 採用決定&入社

契約が成立すると、派遣されていた社員が自社の正式な社員となります。紹介予定派遣の契約時に「紹介手数料」が定められているのですが、直接雇用へ切り替える段階で発生する費用が紹介手数料です。

ここまで派遣社員を採用する流れについて解説しましたが、それ以前に派遣会社選びで悩まれる方が多いかもしれません。現在では派遣会社が豊富にあり、探すのが大変であったり特徴の違いが分かりにくかったりして悩む人も多いでしょう。

もし派遣会社に対する知見がなく、どこか相談できる相手がほしいという場合は「派遣コネクト」というサービスがあります。

費用や業務内容・エリアなどの要望を伝えると、約4万社の中から優良な派遣会社を3〜5社紹介してくれます。相談費用は無料で、具体的な要望が決まっていなくても相談可能。

派遣会社に直接問い合わせると営業電話の対応も必要になってきますので、第三者の立場となってくれる派遣コネクトに一度相談してみてください。

派遣社員の採用時と内定後で知っておきたい注意点

派遣社員の採用時と内定後で知っておきたい注意点

派遣社員を採用する時は、違法や契約違反などのトラブルを避けるために注意しておきたいことがあります。

ここでは注意すべきことを7つ解説しますので、人材派遣を利用する前にあらかじめ把握しておきましょう。

注意点1. 人材派遣では依頼できない業務がある

労働者派遣法では、人材派遣を利用できない業種が定められています。該当する業務は、大きく以下の4種類です。

  • 港湾運送業務
  • 建設業務
  • 警備業務
  • 病院等における医療関係業務(医師・歯科医師・助産師・栄養士など)
(参照:厚生労働省資料

上記の禁止業務は、専門性が高いことや派遣では安定的に雇用を確保できないことなど、様々な理由から禁止業務として定められています。

もし派遣社員を禁止業務に従事させた場合は、人材派遣会社に罰則が課され、派遣先企業に対しては是正勧告が行われる恐れがあります。

さらに、派遣先企業には「労働契約申込みみなし制度」が適用される恐れも。適用された場合は、派遣会社と派遣社員間で結ばれた契約内容と同等の条件で、派遣社員を直接雇用しなければなりません。

(参照:労働契約申込みみなし制度の概要

注意点2. 離職後1年以内のスタッフは受け入れられない

なかなか珍しいケースかもしれませんが、自社を離職した社員を1年以内に派遣労働者として受け入れることはできません。これは労働者派遣法によって定められた禁止行為に該当します。

派遣先は、労働者派遣の役務の提供を受けようとする場合において、当該労働者派遣に係る派遣労働者が当該派遣先を離職した者であるときは、当該離職の日から起算して一年を経過する日までの間は、当該派遣労働者(雇用の機会の確保が特に困難であり、その雇用の継続等を図る必要があると認められる者として厚生労働省令で定める者を除く。)に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならない

(引用元:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

該当するのは正社員だけでなく、契約社員やパート・アルバイトなどすべての従業員です。

注意点3. 派遣社員の受け入れ拒否は原則不可

派遣先企業が、派遣される社員の受け入れを拒否することは原則できません。これは労働者派遣法により、派遣先企業の特定行為が禁止されており、受け入れ拒否は特定行為につながるからです。

その他には、面接や書類による選考、性別・年齢の制限、履歴書を求める行為なども特定行為に該当します。

ただし、直接雇用を目的とする紹介予定派遣は例外で、派遣社員の選考を行うことが可能です。

注意点4. 派遣先管理台帳の作成・保管が必要

派遣社員を受け入れる時には、派遣先管理台帳を作成し、3年間保存することが義務付けられています。

厚生労働省が公表している記入例を参照すると、派遣先管理台帳には以下の記載が必要となります。

【派遣先管理台帳の記載事項】

  • 派遣元事業主名称
  • 派遣元事業主の事業所名
  • 派遣元事業主の事業所の所在地
  • 業務の種類
  • 無期雇用か、有期雇用か、60歳以上であるかどうか
  • 派遣就業した事業所の名称、就業場所および組織単位(例:〇〇株式会社△△部◻︎◻︎課)
  • 派遣就業した事業所の所在地
  • 派遣元責任者
  • 派遣先責任者
  • 就業状況(勤務日時、勤務時間、休憩時間など)
  • 派遣労働者からの苦情の処理
  • 状況各種保険の取得届提出の有無(厚生年金保険、健康保険、雇用保険など)
  • 教育訓練の内容
  • 紹介予定派遣に関する事項(紹介予定派遣のみ)
(参照:派遣先管理台帳 記入例

派遣先管理台帳は、基本的に派遣先企業が作成しなければいけない書類ですが、派遣会社によっては作成を代行してくれるケースもあるので、確認しておくといいでしょう。

注意点5. 面談の際に質問できる内容には制限がある

派遣社員を受け入れるにあたって、派遣社員との面談を実施するケースがあります。面談の目的は、業務内容・就業条件のすり合わせや、派遣社員のスキルや業務経験の確認、職場見学などです。

面接(選考)する場ではないため、派遣社員への質問内容には気をつけなければなりません。

質問してもOKな内容とNGな内容を以下の表にまとめましたので、参考程度にご確認ください。

OKな質問NGな質問
簡単な自己紹介
業務内容
派遣社員の保有スキルや業務経験
就業条件の確認
個人情報(年齢や住所、学歴、過去の勤務先など)
個人の思想に関わる内容
志望動機や前職の退職理由など

基本的に質問できるのは、派遣社員のスキルや業務経験、就労条件のすり合わせに関することで、それ以外のことはNGとなります。

言い換えると、これから業務をお願いする上で、お互いの認識の違いをなくしておくことが面談の趣旨です。

派遣会社から派遣社員のスキルシートを共有されるケースが多いので、その内容を踏まえて派遣社員の人となりを深掘りしたり、就業条件の認識違いがないかを確認したりする質問をしていくのがいいでしょう。

注意点6. 契約外の業務は依頼できない

人材派遣を利用するデメリットとも言えることですが、派遣社員には契約時に提示した労働以外の業務には従事させられません。もし契約時に提示していない業務に従事させた場合、契約違反となりトラブルに発展する恐れがあるため注意してください。

例えば、契約上は「事務」となっているのに人手不足だからといって倉庫内のライン作業の業務をお願いしたり、「本社勤務」で契約したのに関連工場での作業を依頼したり、といったことが挙げられます。

注意点7. 同じ派遣社員へ依頼できるのは最長3年まで

登録型派遣(有期雇用派遣)では、同じ人材に同じ現場での業務を依頼できるのは最長3年までと定められています。(3年ルール)

派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、三年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(第四十条の二第一項各号のいずれかに該当するものを除く。)を行ってはならない。

(参照:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

ただし、常用型派遣(無期雇用派遣)を利用すれば3年ルールが適用されないため、長期的な業務の依頼が可能です。

企業が人材派遣を利用するメリット・デメリット

企業が人材派遣を利用するメリット・デメリット

メリット・デメリットを知ることで、自社が人材派遣を利用すべきなのかを判断する1つの基準となるかと思います。以下の表にまとめましたので、人材派遣を選択するかどうかの参考にしていただければ幸いです。

メリットデメリット
期間を絞って人材確保できる
・雇用し続けるリスクがない
・採用コストを削減できる
・労務コストを削減できる
・素早い人材確保が可能
・即戦力となる人材を確保できる
・正社員のリソースに余裕を持たせられる
正社員を雇うよりもコストが割高になるケースがある
・派遣社員との契約期間に制限がある
・柔軟に業務を依頼できない
・人材を指定することは不可
・派遣社員への指導・育成の手間が発生
・原則途中解約は不可
・所属意識が低くなりやすい

メリット

大きなメリットとしては、必要な時に必要なだけ人材を確保できること、そして突発的に発生する人材不足の穴埋めをしやすいことが挙げられるでしょう。

直接雇用だと求人掲載・書類選考・面接などのステップを踏む必要があり、採用までに早くても1週間以上はかかってしまいますが、人材派遣なら最短で3〜5営業日で人員を確保できます。

デメリット

一方でデメリットとしては、コストが割高になること、そして人材の定着につながりにくいことでしょう。

特に、同一の派遣社員へ最長3年までしか依頼できないという規則により、社員が入れ替わるたびに業務指示や育成の手間が発生してしまいます。

とはいえ、常用型派遣(無期雇用派遣)を利用すれば、この問題を解消できます。長期的な人材確保を希望する方は、常用型派遣を利用できる派遣会社を選ぶといいでしょう。

もし、メリット・デメリットについてもっと深く知りたいという方は、以下の記事をあわせてご覧ください。大手企業・中小企業で人材派遣で雇う場合など、状況別のメリット・デメリットを解説しています。

>>【企業側】派遣を使うメリット・デメリットを様々な視点で解説

また今後派遣社員の受け入れを検討している場合、「派遣コネクト」を利用すると自社に最適な派遣会社を簡単に見つけられるのでおすすめです。

派遣コネクトは、費用や業務内容・エリアなどの要望を伝えると、約4万社の中から優良な派遣会社を3〜5社紹介してくれます。相談費用は無料で、具体的な要望が決まっていなくても相談可能。

派遣会社に直接問い合わせると営業電話の対応も必要になってきますので、第三者の立場となってくれる派遣コネクトに一度相談してみてください。

派遣社員を受け入れる当日の流れと注意点

派遣社員の受け入れ 当日の流れと注意点

派遣社員を受け入れる当日の流れは、以下のとおりです。

  1. 関係者へ紹介
  2. オフィス・社内設備の案内
  3. 社内ルールの説明
  4. 業務に関する説明

派遣社員に契約期間満了時まで働いてもらうためには、受け入れ時の対応はとても重要です。対応によっては派遣社員の不安を増長させたり、モチベーションの低下につながったりすることもあり得ます。

ここでは派遣社員の受け入れ当日にすべきことに加え、それぞれの段階で注意すべき点についても触れています。

トラブルなく派遣社員を受け入れられるように、何をすべきか、また何に注意すべきかをチェックしておきましょう。

関係者へ紹介

まずは、派遣社員を関係者へ紹介しましょう。紹介する相手は、主に派遣先責任者や指揮命令者、一緒に仕事を行う既存のスタッフです。

氏名や担当業務などを関係者へ周知することで、指揮命令者が仕事の指示を与えやすくなり、周りの社員もフォローに入りやすくなります。

また関係者へ紹介する時には、契約の範囲内でしか業務を依頼できないことも伝えておきましょう。派遣社員の契約上の注意点を現場責任者やスタッフへ周知しておくことも、派遣社員に長く働いてもらうためのポイントです。

オフィス・社内設備の案内

業務を行う現場だけでなく、社内を案内することも忘れずに行いましょう。企業や職種、現場によっても異なりますが、以下の場所が挙げられるかと思います。

  • 更衣室
  • トイレ
  • 事務所
  • 書類の提出場所
  • 業務で使用する備品の保管場所
  • 昼食や休憩時に使う休憩室
  • 非常口や非常時に逃げるルート

また社内設備や福利厚生施設の利用は、自社の社員と派遣社員に差がないようにしましょう。例えば、「派遣社員は休憩室を使ってはいけない」「派遣社員はお弁当を頼めない」など、このような待遇の差によって辞退してしまうこともあり得ます。

社内ルールの説明

出勤時間・お昼休憩の時間・業務中の休憩時間・施設の利用ルールなど、会社独自のルールがある場合は、あらかじめ共有しておきましょう。

社内ルールについては、あらかじめ派遣会社の営業担当者に伝えておき、営業担当者から派遣社員に伝えてもらうのもひとつの方法です。

派遣社員が社内ルールを知らずに破ってしまい、現場スタッフから怒られたり白い目で見られたりする事態になれば、派遣社員が辞退する原因となる可能性があります。

社内の円滑なコミュニケーションを実現するためにも、知っておくべきルールは漏れなく伝えるようにしましょう。

業務に関する説明

主な業務内容や業務全体の流れ、業務に付随する雑務などを説明します。この時に、派遣社員との認識に相違がないかを確認してください。

もし認識に違いがあった場合は、業務に入る前に派遣会社の営業担当者に問い合わせ、契約内容を確認する必要があります。

先述のとおり、派遣社員へは契約外の業務を依頼できません。依頼する業務内容が契約書どおりかどうかを事前に明確にしておくことも、派遣社員にスムーズに業務を開始してもらうために大切です。

人材派遣の利用にかかる2つのコスト

人材派遣の利用にかかる2つのコスト

派遣社員の採用にあたって、以下の2つのコストが発生します。

  • イニシャルコスト(初期費用)
  • ランニングコスト(継続費用)

人材派遣におけるコスト面の特徴は、初期費用が抑えられることです。

通常、直接雇用する場合は、求人掲載費や採用担当者の人件費、人材育成費などの初期費用が発生しますが、人材派遣の場合は派遣会社が採用を行うためそれらの費用はほとんどかかりません。

イニシャルコスト(初期費用)

派遣社員を採用する時に発生する初期費用は、主に「備品の準備費」です。

  • 社員カード
  • セキュリティカード
  • 制服
  • 文具
  • パソコン

現場によって異なりますが、上記のような派遣社員が業務上使用する備品を揃えるための費用が発生します。

ランニングコスト(継続費用)

ランニングコスト(継続費用)として発生するのは、「派遣料金」です。派遣先企業は、毎月、派遣会社に対して派遣料金を支払う必要があります。

【派遣料金の内訳】

  • 給料
  • 社会保険料
  • 派遣社員有給休暇費用
  • 諸経費(募集広告費・教育研修費など)
  • 営業利益

派遣料金には、基本的に上記の費用が含まれています。

厚生労働省が公表するデータによると、令和4年度の派遣料金(8時間換算)の平均は24,909円だったとのことです。

(参照:令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)

派遣社員に辞退されないために!やっておくべきフォローアップ

派遣社員に辞退されないために!

派遣社員が辞めてしまう事例は少なくありません。そして、辞めてしまう理由は、以下のように様々です。

  • 人間関係のトラブル
  • 業務内容が合わなかった
  • 職場での疎外感
  • スキル不足による後ろめたさ
  • 収入面の不満

これらの理由で辞めてしまうことを防ぐためには、派遣社員を採用した後のフォローアップに力を入れることが必要です。

もちろん辞めてしまうリスクを100%防ぐことはできませんが、フォローアップがしっかりしていれば離職率は下げられます。

正規社員と派遣社員の対応に差を作らない

正規社員と派遣社員の間には、どうしても温度差が生まれやすいです。この温度差は、コミュニケーションによって感じることもあれば、社内ルールや待遇などの社内体制によって感じられることもあるでしょう。

この温度差は疎外感につながり、職場に慣れていない派遣社員にとって精神的な負担となります。

派遣先企業ができることは、正規社員と派遣社員の対応の差を作らないことです。

例えば、コミュニケーションに配慮することはその1つ。他の社員に周知しお互いが交流しやすい環境を整えたり、同じ業務に携わる仲間の1人という認識のもとコミュニケーションをとることが大切です。

「派遣社員さん」ではなく、「〇〇さん」と苗字で呼ぶことで、無意識化の差別意識が薄れ、温度差も生まれにくくなるでしょう。

また契約面に関しては、給与や賞与・福利厚生の差をなくす必要があります。例えば、正規社員は有給休暇が取れるけど、派遣社員は有給休暇が取れないといった事態は避けなければなりません。

もし待遇の差が不合理なものであった場合、労働者派遣法に違反してしまうため、あらかじめ把握しておきましょう。

派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する派遣先に雇用される通常の労働者の待遇との間において、当該派遣労働者及び通常の労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

(参照:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

職場のルールを理解してもらう

職場のルールを理解してもらうことで、不要な人間関係のトラブルを未然に防げます。職場の入り口・休憩時間・書類の提出場所など、業務上知っておくべき情報は漏れなく伝えるようにしましょう。

また、職場独自の文化やルール・禁止行為などがあるなら、あわせて共有することも忘れないでください。

人間関係のトラブルは離職理由の上位に入る項目なので、防ぐことができれば派遣社員の定着率向上にもつながります。

スキルアップサポート

研修や勉強会などによってスキルアップをサポートをすることで、スキル不足に悩んで辞めてしまうリスクを抑えられます。

派遣社員への研修をあまり行わない企業も多いですが、正規社員と同様に派遣社員のスキル向上を目指せば、離職率を下げられるほか現場の効率性も高まるはずです。

またスキル面については、募集段階で明示しておくことも大切。自社の作業にどのレベルのスキルが必要なのかを把握し、ミスマッチのないように派遣会社へ依頼することも心がけていきましょう。

【企業側】派遣社員の採用までの流れや注意点まとめ

この記事では、派遣社員の採用の流れや、採用時・受け入れ時の注意点などについて解説しました。

採用の流れについては、一般的な派遣(登録型派遣・常用型派遣)と紹介予定派遣の流れが異なることを理解しておきましょう。

大きな違いとしては、派遣社員の選考の可否です。一般的な派遣では受け入れる社員を選考できませんが、紹介予定派遣では面接・書類・筆記試験により選考を行えます。

また派遣社員を受け入れる時には、定着するようにフォローアップすることも重要。正規社員も派遣社員も同じ職場で働くメンバーとして、対応に差をつけないようにしましょう。

契約面については、人材派遣会社との話し合いにより待遇の差をなくすことで解決できますが、コミュニケーションに関しては一筋縄ではいきません。

こまめな声がけや雑談、正規社員への周知などを徹底し、正規社員と派遣社員がお互いに交流しやすい環境を整えましょう。

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